全国鯨フォーラムに参加しました【前編】

捕鯨文化、鯨食文化の継承・普及啓発を目的に平成19年にスタートした「全国鯨フォーラム」。15回目と回目となる今年は宮城県石巻市で開催されました。

今回はこの「全国鯨フォーラムin石巻」の様子を2回に分けてお届けしたいと思います。

フォーラム初日の会場である「マルホンまきあーとテラス」は、震災で全壊した石巻文化センターにかわる新しい文化拠点として今年の4月にオープンした複合文化施設です。施設内には11月にオープンしたばかりの博物館やカフェも併設されています。

会場に入ると、ステージに飾られた石巻市の子どもたちが描いたカラフルなクジラのちぎり絵が出迎えてくれます。さらに、記念品として石巻市鮎川地区の伝統工芸品である鯨の歯を使った根付が配られました。象牙よりも固い鯨歯を削って作られたくじらの根付。鯨は長命のため、昔から縁起が良いと言われ、鯨歯は身に付けると魔除けにもなるんだとか。乳白色のころんとしたフォルムが愛らしいです。

そして石巻市長の挨拶からいよいよ鯨フォーラムがスタート!

続いて震災復興報告の動画が放映された後は、「我が国商業捕鯨の今後の展望」と題して水産庁資源管理部の諸貫参事官による基調講演が行われました。

日本がIWCを脱退した経緯や、商業捕鯨再開後も最新の科学的根拠に基づいて算出した捕獲枠を設定し、IWC科学委員会などの持続的利用支持国との協力を継続していることなど、現在の捕鯨政策について解説がありました。

また、捕獲頭数が減った・鯨肉が足りない・鯨肉が売れない・鯨が捕れないなど需給のアンバランスからくる一見矛盾するような課題があることや、捕鯨は続けるべきか?食文化は維持するべきか?反捕鯨国への対応は?など鯨の持続的利用に向けた課題にも触れました。そして、これらの課題にはまだ明確な解決方法がなく、鯨肉の消費も減っている今、鯨に縁のあるまちが伝道師となって鯨肉の美味しさを広めることが大切であると思うとお話しされていました。

パネルディスカッションでは、和歌山県太地町の三軒町長や木の屋石巻水産の木村社長ら石巻で鯨にたずさわる5名の方が登壇し、「くじらを活かした地域振興」について討論が行われました。鯨肉の加工法や若い方たちへの消費拡大、鯨の観光資源化について考えを述べ、捕鯨の町ならではの家庭料理に脚光を当てる・牛肉の様に鯨肉を熟成させるなどのアイデアを出しながら意見が交わされました。

→後編へ続く

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